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第25回 松の司きき酒会 in 近江八幡

2011年11月6日、ホテルニューオウミにて「第25回  松の司きき酒会」が開催されました。
各イベントが重なるお出かけ日和でしたが、227名という、過去最多のお客様にご来場いただき盛況のうちに終えることができました。短い時間ではありましたが、楽しい歓談の時を 過ごせたこと、多くの貴重なご意見をいただけたことに感謝いたします。
ありがとうございました。


松の司きき酒会in近江八幡

2011年11月6日 松の司秋のきき酒会 講演内容

 こんにちは、25回目の松の司きき酒会にご出席をありがとうございます。
 さて、毎回少しお話をさせていただくのですが、今日は、松の司の熟成期間についての話をしたいと思います。昔から松の司は日付けの古いものから買ってくださいと申し上げておりますが、なぜそうなのか今日はお話したいと思います。
 松の司では、全ての原料を契約栽培し、栽培者、圃場も竜王町、兵庫東条と限定しています。また、栽培内容も環境こだわり農産物認証や特別栽培米など低農薬・無農薬栽培で進めています。

 仕込み水は、鈴鹿山系愛知川伏流水ということで、中軟水の味のある水です。
 仕込みについては、1仕込みを小さな仕込みにすることと、大きな機械を使わずに昔ながらの手造りで仕込んでいます。発酵後搾ったお酒はタンクの中で10日間程度滓引き後生酒瓶詰し即出荷のものと、又は30〜40日滓引き後、火入にして瓶詰し、5℃冷蔵庫内に貯蔵され出荷を待ちます。

 瓶詰めされてから出荷そして特約店様から皆さんがお飲みになるまでの期間が熟成期間ということになります。
 瓶詰めされたお酒には、醸造年度が入ります。その年度をブルワリーイヤーと言いまして、この原料米が収穫されて、お酒が醸造された10月〜翌年9月の間を短くしてBYとして表します。
 今年も11月下旬には新酒が出ますが、2011(H23BY)という表示が入るわけです。このお酒をいつ飲んだら美味しいか?というのが本日の問題です。
 弊社商品の中には瓶詰め後、直ぐ〜3カ月以内に出荷するお酒と1〜2年の熟成期間を置いてからの出荷商品があります。

 基本的な事を申し上げますと、楽・特別純米・特別本醸造・中取りなどの火入商品とあらばしり・しぼりたてなどの生酒商品は精米歩合55%以下で、山田錦と吟吹雪などを原料にした仕込みで、瓶詰め後即〜3カ月以内に出荷しています。
 これらの商品も出始めは少し味わいが物足りない事がありますが、精米歩合が低いのでエキス分も多く、日を追う毎に味わいが出てきます。新酒らしい春先の淡い味わいも楽しんでいただきながら夏を越したところで本格的な味わいとなります。
(あらばしり・中取りという精米歩合55%商品がありますが、この商品は山田錦100%使用で味わいを多く持たせた造りをしています。)
 その他の商品は、大吟醸・純米大吟醸造りをした精米歩合50%以上で醸造した純米吟醸竜王山田錦・AZOLLA・渡船や大吟純米黒・Classicなどの商品で、10日程度滓引き後生酒で瓶詰め後即限定出荷するものもありますが、山田錦又は渡船100%の仕込みですので、30〜40日間滓引き後火入瓶詰めし5℃の冷蔵庫に貯蔵し1〜2年の熟成後の出荷となっています。これは、精米歩合が高くなるほどエキス分も少なく、搾った当初は味わいが薄くなりますので、本来の弊社が認める味わいが出てくるまでには最低1年程度の時間がかかるためです。出荷後は、松の司としてある一定以上の味わいを認めています。しかし、出荷後に日を追うごとに味わいを増して行く場合もありますので、お客様が光を遮断して冷蔵庫で保存頂ければより一層の松の司に出会える可能性もあると考えています。この様な上手く熟成した松の司を飲んで頂く事が、松の司最大の楽しみであると考えています。
 その確実に美味しくなると分ればビンテージとして、いわゆる当たり年といえる日本酒も出来るのではないかと考えています。(日本酒に於いてのビンテージは原料米の良し悪しだけではなく、醸造に関する情報も必要です)

 醸造年度により熟成が異なると言う事をもう少し掘り下げますと、日本酒は、ワインと違って原料米も大事ですが、醸造技術も大変重要です。その比率は5対5であると考えています。日本酒は原料米と技術のハーモニーであります。
 松の司では、この日本が世界に誇る優秀な麹製造技術や平行複発行技術で、自然から入来の純粋な味わいを理想とする松の司を造り出すには、他のものに代えられない部分が多くあります。たとえば原料米産地や酵母菌の選択そして、炭素ろ過をせずに原料から来る味わいとなるお酒本来の持ち味を大事にすることです。その原料米、酵母など微生物の素性を自然に引き出すために努力を重ねています。この方法が、お酒が本来持っている力を自然と出してくれるからです。この様な事から原料米の低農薬・無農薬栽培や木桶による醸造を進めていくことの重要性を感じています。
 松の司の味わいを守る上では自然の力を引き出すことが重要で、その為に次世代に残して行くべき圃場や環境保全についての重要性を模索しています。まだまだ未熟ではありますが、これが冬期湛水や生もと酒母そして酵母無添加醸造につながっています。

 2010年産原料米は、残暑が厳しく高温障害が出ましたいわゆる悪い年です。あまりこのような事を公にする事は宜しくないかもしれません。しかし、日本酒が皆様に大人の趣味として料理と共に楽しんで頂けるものになるためには大変重要な事であると考えています。幸いに松の司では最大限に努力し、秋になりまして酒質もいつもの水準まで上がりましたが、春から秋に掛けては少し味のりが遅く、何時もの様な味わいを感じられなかったと思われた方もおられたかも知れません。いつもお酒に接しておられる方にしか分らないかもしれませんし、問題ないと言われる方もおられますが、松の司である為の味わいを大切に醸造技術による過度な修正をせず醸造しておりますので、ご理解を頂きたいと考えています。

 最後に今回の新製品「2008松の司special純米大吟古酒black azolla」について案内致します。
 2007年産からspecialシリーズ用の原料米は、東条山田錦特上米で栽培期間中無除草剤栽培となっています。兵庫では特別栽培米と言います。この2008年10月に収穫された原料米を100%使用し、2009年の1月頃に40%の精米歩合で仕込みました。4月中頃には、滓引きも終わり、特別に誂えました720mlに瓶詰めし5℃の冷蔵庫で出番を待っていました。2011年の夏過ぎに出荷を決定しています。
 その味わいは、やさしく凝縮された味わいの中に上品な香りと味わいが閉じ込められていてグラスを回すと少しずつ漂うように感じる味わいです。

 飲む前の注意事項は、冷蔵庫で保管したものを飲まれる場合は、松の司の熟成したお酒の飲み頃温度は、常温より少し低めの温度なので、早めに冷蔵庫から出すなど、あまり冷たくし過ぎない様にくれぐれも気を付けて頂きたいと思います。また、振動に弱いので、お店などへ持込まれる時は出来るだけ前日着か又は早めの入店でお願いします。このお酒はワイングラスがお勧めです。
 
 今回の熟成に関するお話は如何でしたか?日本酒は初めて飲む方にとっては分りづらいと言われますので、原料米の種類と製造年度そして精米歩合で分けて考えると少し分りやすいかと思いまして、話をさせて頂きました。松の司は熟成が遅いのでこの様な話になりましたが、蔵元によっては早く飲んだ方が良い場合もありますので、今回の話が日本酒全てを網羅する話ではない事をご了承ください。

 また、現在の日本酒は1940年(昭和15年)〜1992年(平成4年)まで52年間の特・1・2級酒という級別制度があった時代とは様変わりしていますので、飲まれる時には銘柄だけではなく原料米の種類・精米歩合・製造方法と年度(BY)などをご確認頂いてから飲まれるようにお願い申し上げます。

以上




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