創業万延元年 松の司

創業万延元年 松の司

VINTAGE REPORT

R2BY(2020)

R3BY(2021)

2021年5月は雨が多く田植え直後から日差しが少ない年となりましたが、
気温は低くなかったために田植え直後の稲の成長に影響を及ぼすことはありませんでした。

6月は平年の6割ほどの降水量で雨が少なく、晴れの日が続いたおかげで稲が順調に育ちました。

7月も引き続き雨が少なく晴れの日が多く、気温の高い月となりました。
この時期には中干といって田んぼの水を無くし乾かすことで稲の根の強化を図る時期であることから、
降雨が少なかったことは稲の成長にとっては利点となりました。

8月は一転して雨が多く日差しの少ない月となりました。しかし出穂期にあたる下旬には日差しも戻りました。

9月は曇りの日が多く日照時間は少なかったものの、降雨そのものは平年なみでした。
近年は米の登熟期の高温障害が起こる年が多い中、
この年の9月は曇りの日が多かったおかげで夜温が下がり米の登熟が理想的な環境下で推移しました。

台風14号、16号と通過していきましたが直撃することなく大きな問題とはなりませんでした。

10月の収穫期については雨の日がほとんどなく、気温は低めで晴れの日の続く完璧な年となりました。

最終的な酒米の品質については近年まれにみる高温障害のない品質のみならず収量とともに理想的な結果となりました。

もちろん、酒造りにおいても2021年産の酒米は扱いやすく素直に酒に仕上がっていく印象でした。
また、品種毎の特性も明確な年であったのでそれぞれの品種の個性を理解するには楽しい年と思われます。

9月の夜温が下がり米のでんぷんの質が良いことから味の広がりがあり、
丸く大きく柔らかい口当たりの酒に仕上がったと感じています。
 

R2BY(2020)

R2BY(2020)

2020年5月は月間日照時間がかなり多く、順調な気候のもと田植えは行われました。
降水量は少なかったのですが、滋賀県は琵琶湖のおかげで水が豊富にあるので稲の根の活着には最適な始まりでした。

6月の気温は高温と低温が目まぐるしく変化しました。
ただ日照には恵まれていたため稲にとっては大きな影響とならず生育に支障は起きなかったようです。

7月は雨の日が多く、極端に日照の少ない月となりました。前年と同様に本来なら水田の水を抜いて
中干しという作業が行われるのですが、田は湿ったままの状態が続き稲の株の分げつ過剰も起こりました。
一方で日照が少なかったものの、観測史上初めて台風が観測されない7月となり穏やかなひと月となりました。

8月も引き続き平年と比べて曇り雨の日が多く、いもち病などの病害が心配されました。平年と比べると
気温の高い日も続きましたが2019年ほど異常なことはなく、上陸する台風もなかったため概ね順調な生育で推移しました。

9月も引き続き暑い日が続き、日照も戻って晴天の日が多かったので理想的な登熟期を経て酒米のデンプンの質を向上させました。

10月の収穫時期についてはほぼ問題のない天候で推移し、台風にほぼ影響されない珍しい年となりました。

最終的な酒米の品質については2017~2019年は8、9月の異常な暑さで難しい年が続いたのですが、
2020年は久しぶりに喜ばしい内容の酒米となりました。

酒造りにおいてもとても扱いやすい米質で、通常の操作で麹も順調に生育するので、特段の調整なしに素直な醪に
仕上げることが出来ました。結果、それは酒の味わいを決定づけるもので柔らかく滑らかな酒質となってくれました。
ここ数年はどちらかと言えば繊細でクリアな酒質になりやすい年が多かったのですが、
今年はおおらかで優しい口当たりの酒に仕上がったと感じています。
 

R1BY(2019)

R1BY(2019)

2019年5月は日照時間がかなり多く、降水量は少なく、順調な気候のもと田植えは行われました。
琵琶湖のおかげで水が豊富にある滋賀県では稲の根の活着には適した気候であったと思われます。

6月も梅雨の影響が少なかったため日照時間は多く降水量は少ない月となりました。

7月は一転して冷たく湿った気流の影響で、曇りや雨の日が多く、日照時間がかなり少ない月でした。
加えて台風5号と6号が立て続けに来たことで降水量はかなり多く、曇りの日が多いことが影響し、
2015年以来4年ぶりに月平均気温が低くなりました。本来なら田の水を切って中干しという作業がしたい時期ですが、
田は湿ったままで稲の株の分げつ過剰も起こったようです。

8月は記録的な暑さとなりこの年の米の収量と個性を決定付けることとなりました。
特に穂が株中で育つ月の前半に厳しい暑さの日が続き、
夜温が下がらないために穂の中で正常に花粉が生育できなかったと思われる受粉不良が見られました。

9月も引き続き暑い日が続いたことで酒米のデンプンの質を下げ、
さらに悪いことに大きな台風がたて続けに日本列島を襲い、風と雨が米の品質を難しくしました。

10月の収穫時期についてはほぼ問題のない天候で推移しましたが、総じて収量、品質的にも難しい年となりました。

これによってとても慎重な米の選別が必要となりました。
さらに酒造期間においてもいくつかの苦労がありましたが、今年の酒は香りが良好でほのかな甘さを持ち、
根底に力強さを感じさせながらも緻密で繊細な酒に出来上がったと確信しています。
このエレガントな酒をぜひ楽しんで頂ければと思います。