創業万延元年 松の司

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松の司の「現在」

例えてみました。vol.1《アルティマスはロバート・グラスパー》

2022-02-26

こんにちは、蔵人の原です。

普段、蔵できき酒をしたりしながら商品について「これって〇〇で言うたら△△みたいな」という話しをすることがあります。このブログはそんな感覚でウチの商品たちをご紹介できたらなと思いスタートしました。

まずは僕の浅はかな知識の独断と偏見にはなりますが、趣味のジャズで例えてみたいと思います。ディープなジャズフリークの方からは「それは違うぞ!」と言われるかもしれませんが、とりあえずウチの商品たちの個性がそれぞれどんな感じかを知るきっかけになればということで。


そして今回例えてみるのは『大吟醸 Ultimus(アルティマス)』です。

商品説明には《松の司の歴史の中で一つ一つ積み重ねられた日本酒造りの技によって丁寧に醸し出されるモダンに洗練された大吟醸酒》とあります。そして僕にとってこの『アルティマス』をジャズで言うたら『ロバート・グラスパー』なんですね。


出典:UNIVERSAL MUSIC JAPAN

ジャンルを超えた融合

アメリカのジャズピアニストであるロバート・グラスパーは現代ジャズシーンの重要人物であり、ジャズというカテゴリーの中でヒップホップやR&B、オルタナティブ・ロックなどを融合させて現在のブラックミュージック自体をリードしています。

なにゆえ僕にとってアルティマスがロバート・グラスパーなのかというのは彼のアルバム『In My Element』にあります。ジャズらしいシンプルなピアノトリオ編成ながらヒップホップのテイストも感じさせるこのアルバムの中で、僕が特にアルティマスだなぁと思うのが『Maiden Voyage(処女航海)/  Everything In Its Right Place』という曲です。


出典:UNIVERSAL MUSIC JAPAN

一つの美しい曲

この曲はジャズの大御所ハービー・ハンコックによる1965年の歴史的名盤『処女航海』のタイトル曲、そしてロックバンドのレディオヘッドがロック界に革命を起こした2000年のアルバム『KID A』のオープニング曲『Everything In Its Right Place』とが一つに融合しています。すばらしいのが2曲を合体させて演奏している感はまったくなくて、すごく自然に一つの美しい曲になってしまっているんです。

曲の冒頭は『Everythig…』のイントロで始まり、気がつくと『処女航海』のテーマになっていて、またいつのまにやら『Everythig…』のサビに入っていきます。それぞれの曲を知らない人が聴いたらほんとうにただの1曲に感じるのではないでしょうか。


出典:UNIVERSAL MUSIC JAPAN

歴史とモダンの融合

僕の中ではこれが《歴史の中で積み重ねられた日本酒造りの技によって丁寧に醸し出されモダンに洗練された》アルティマスと重なるんです。アルティマスは古き良き大吟醸酵母『きょうかい9号』と現代的大吟醸用酵母『きょうかい18号』を使って造ります。

1953年に熊本『香露』の蔵から分離され広まった『きょうかい9号』で醸した酒は爽やかな香りと心地良い酸味で張りのある味わいに、2006年から頒布された『きょうかい18号』はそれまでの日本酒では考えられなかった華やかで鮮烈な香りやスムースな味わいを酒にもたらします。

その2つの酵母によって生まれるアルティマスは品良く華やかな香りをまといつつも、伝統的な日本酒らしい食中酒としての落ち着きときれいさを感じます。《歴史》と《モダン》を松の司らしい大吟醸としてナチュラルに融合した酒なんですね。


出典:Radiohead Public Library

 『Maiden Voyage(処女航海)/  Everything In Its Right Place』も『アルティマス』も歴史に培われたものを一足飛びにわかりやすくアレンジするのではなく、その良さを保ちつつ、まるで元々そうであったかのようにモダンに洗練していると僕は感じるのです。

どうでしょう、《アルティマスはジャズで言うたらロバート・グラスパー》何となくお分かりいただけたでしょうか。このような感じでまた他の商品も例えてみたいと思っています。

ただあくまで個人の感想ですので、どうかお手柔らかに。

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