日本酒の成分の約80%は水です。使われる水の個性がその酒の質感に大きく左右します。つまり日本酒は“米の酒”であると同時に“水の酒”であると言えます。
だからこそ私たちは「《水》の個性を理解し、違和感なく酒にすることは酒造りの根幹である」という考えのもと、水の探求をスタートしました。自分たちの水の個性を確かめ、他所の水との比較の中で、やわらかく口の中でほどけていくような口当たりの《水》、岡鑿泉工業所の井戸水に出会ったのです。
この岡鑿泉の水と向き合う中で、もっと《水》そのものの存在を感じさせ、やわらかな水の個性を活かした表現があるのではないかと感じ、その個性を違和感なく酒にすることを目指し生まれたのが『松の司 純米吟醸 みずき』です。
『みずき』の醪には、通常の仕込みより多くの水を使用しています。水への眼差しから酒を仕立てるという新しいチャレンジによって完成した『みずき』は《水》の個性をクリアに感じさせます。落ち着いたほど良い香り、軽快な甘味とともに感じるやわらかな口当たりは岡鑿泉の水の個性を反映しており、《酒》と《水》との強い結びつきを感じることができます。
アルコールが低く抑えられたことによるライトな口当たりと飲み心地から、日本酒に馴染みのない方への最初の一杯にもなるのではないでしょうか。
松の司において[土壌別シリーズ]と[AZOLLAシリーズ]はまさに“米の酒”であり、『みずき』は“水の酒”です。酒造りにおける原料への取り組みの新しい顔として、これまでの松の司とは異なる味わいの世界をお楽しみいただければ幸いです。