創業万延元年 松の司

創業万延元年 松の司

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松の司の「現在」

松の司のきき酒部屋 Vol.4

2020-12-15

『松の司のきき酒部屋』ではサケ・ディプロマ(J.S.A. SAKE DIPLOMA)取得の2人の蔵人が松の司のいろいろな商品をきき酒し、その感想をお届けします。

*サケ・ディプロマとはJ.S.A.(日本ソムリエ協会)が認定試験を行う日本酒に特化した資格認定制度です。


第4回目は生酛造りの商品である『松の司 生酛純米酒』と『松の司 純米大吟醸AZOLLA50』(アゾラごじゅう)のきき比べです。

日本酒好きの方にとっては耳にする機会が多くなった生酛造りのお酒ですが、わかりやすく言うと「自然の力を活用した昔ながらの日本酒の造り方」です。当蔵では酵母を添加せず、蔵の中に生きる酵母(蔵付き酵母)が自然に育った乳酸菌の力を借りながら、他の微生物との生存淘汰の中で生き抜きお酒を醸すという本当に昔ながらの造りをおこなっています。

そんな生命力の宿った2つの商品ですが、キーワードは‟乳酸”と‟複雑味”になりそうです。それでは2人のきき酒の模様をどうぞ。


一筋縄ではいかぬ香り

ーーまずは『AZOLLA50』から。新酒(R1BY)です。めずらしい純米大吟醸クラスの生酛ですがその香りは?

雄作
香りだけなら生酛って分からへんすね。

圭太
すっごい上品な香り。

雄作
金沢系なんかな?どの吟醸香が立つとかじゃなく全体的に・・・。

圭太
酵母から来る吟醸香じゃないような、このおだやかな吟醸香ってゆうか、それが特徴かな。


松瀬 圭太/37歳、蔵人歴12年、2019年 J.S.A. SAKE DIPLOMA取得

雄作
このクラス(=純米大吟醸)にしては料理の邪魔をしない料理に寄り添う感じですよね。

圭太
イソアミル(=酢酸イソアミル、吟醸香の一つ)よりおだやかな果実味とか花とか。

雄作
でもやっぱりヨーグルトとかミルクっぽい香りもするかなぁ。


『松の司 純米大吟醸AZOLLA50』栽培期間中無農薬で育った地元竜王町産山田錦を100%使用し、精米歩合は50%。無農薬山田錦と酵母無添加の生酛造りというまさに‟自然の力”を表現する商品。

サワークリームと若葉

ーー香りからもう何とも言えない複雑味が出ているようですね。では味の方は?

雄作
口に含んだ感じは、白い削った(=高精白)さわやかな味がしますね。

圭太
含み香(=口に含んでから感じる香り)は雄作の言ったようにヨーグルトっぽい感じするかな。サワークリームとかそういうさわやかな嫌みがない感じ。

雄作
うん。それに合わせてフレッシュな、何て言うか植物の青っぽい・・・若葉とかですかねぇ。


築山 雄作/33歳、蔵人歴7年、2018年 J.S.A. SAKE DIPLOMA取得

圭太
そうやな、それと後口の広がりがフワッとしっかりあるかな。

雄作
ウチの酒の特徴でもあるんすけど、最初引き込んだ時はけっこう硬めでタイト。徐々に生酛らしいやわらかさが出て来るかな。

圭太
その辺が生酛の良さなんやろうなぁ。硬いだけで終われへん。

雄作
クリアでタイトやけど、取っ付きにくい感じじゃなくて、やわらかさもあって。味も甘くないから料理に合わせやすいですよね。

ペコちゃんあらわる

ーーつづいては『生酛純米酒』にいきましょう。こちらは現在出荷中の一年熟成(H30BY)のものです。まずは香りから。

雄作
おっ、これはかなり乳酸的な香りが・・・。

圭太
より分かりやすいねぇ。

雄作
何か「ミルキー」みたい。ペコちゃんの顔が浮かぶくらい(笑)

圭太
あぁ、クリーミーな。確かに「ミルキー」みたい(笑)甘い香りもあるし。

雄作
あと熟成しかけてるからキャラメルみたいな趣きもあるかな。さわやかっていうよりはポチャンと肉付きのある。米由来の香りもしますしね。

圭太
比べたらやっぱり全然違うな。使ってる米の違いもあるかな。『AZOLLA』は無農薬(=栽培期間中無農薬栽培の山田錦)100%やもんね。

雄作
ちょうど今くらいの熟し加減やと熟成酒が苦手な人でも違和感なく飲みやすいと思う。


『松の司 生酛純米酒』酒米は精米歩合65%の山田錦と吟吹雪を使用。松の司の生酛造りの歴史が詰まった商品。

複雑味の中の古木と酸

ーーでは味わいについて。

圭太
きっちり酸も出てるな。

雄作
うん。酸もあるし、熟成しかかってるからドライフルーツとかレーズンとかの感じもあって。圭太さんがさっき言ったみたいなサワークリーム的なのもちょっとあるかな。

ーーそこは共通するニュアンスがある?

雄作
そうですね。あとちょっと乾いた古木みたいなニュアンスもある気がします。樽熟成じゃないけどそういう雰囲気。

圭太
木っぽい香りが熟成と良い感じに混ざって来てるんかな。

ーーそこも両方、植物的な表情が。さわやかな若葉と落ち着いたウッディなニュアンス。

圭太
これは生酛やからかなぁ?

雄作
ウチの特徴かもしれないですけどねぇ。いわゆる木香(=日本酒ではネガティブフレーバーとされる香り)って言いがちやけど、この場合は味を複雑にしてる一つの要素になってるから、品評会的なきき酒っていうのとは別で素直な官能評価とした時に僕はポジティブにとらえても良いんじゃないかと思いますね。ただ肉付きの良い味わいの酒に終わらない要素になってるんじゃないかな。

ーー『AZOLLA』と『生酛純米』好対照ですね。

雄作
うん。『AZOLLA』に戻ると品が良いですもんね。洗練されてる。

圭太
甘味がすごく綺麗やしね。無駄がないって言うか。やっぱり米削ってる(=高精白)良さかなぁ。

雄作
山田(=山田錦、酒米の王様)はやっぱり削っても味の焦点がぼやけへんし、クリアやけど面白くなくならへん感じしますよね。生酛やから余計にそうなんかもしれませんけど。

さわやかさと香ばしさの『AZOLLA50』
煮付けやチーズに合う熟成感の『生酛純米』

ーーそれではそれぞれの特徴が分かってきたところで料理とのペアリングの話にまいりましょう。

圭太
やっぱ『生酛』はゴツイ系になるかなぁ。醤油で煮たような、魚の煮付けとか。

雄作
キンキとか油が強いやつの煮付けとか良さそう。僕はやっぱりチーズかな。酸味もあって乳酸発酵の仲間で、パルミジャーノとかあっさりしたのよりもちょっと熟成してるやつが良いかもですねぇ。『AZOLLA』やったらブルーチーズっていうのも悪くないかも。あとは鮒ずしですね。

ーーおぉ、滋賀っぽい。

雄作
同じ乳酸系で卵もこってりしてるし、同じ米の発酵物やし良いんじゃないかと思いますね。あとね、焼き味噌とか。味噌とか蕎麦の実とかも入れるから『AZOLLA』でも良さそうですけどね。『生酛』だとリゾットとかも案外ワインより合うような気が・・・。

ーー『AZOLLA』はもう少し塩味やミネラル感に合わせる方向ですか?

雄作
圭太さんが言ってはったサワークリームとかのニュアンスはとっかかりになるかも…。

ーーライトなクリーム系?香草系とか?

雄作
ガパオライス的な(笑)でもそういうさわやかな香草と発酵系の調味料を使う東南アジアの料理は面白いかも。『生酛』より『AZOLLA』の気がしますしね。

圭太
案外合わせたら合うかもしれんなぁ。

雄作
この料理にコレっていうのじゃなくて、例えばタイ料理とかベトナム料理とかのコースに『AZOLLA』1本でカバー出来たりするんじゃないかな。

圭太
『AZOLLA』の複雑味がそういう系の料理に幅広く合うってこと?

雄作
うん。日本酒って絶対これに合うってピンポイントの良さっていうより、前菜からご飯ものまで通して飲めるのが魅力の一つやと思うし。コスパが良いってやつですかね。

ーーお米が原料なので米料理までいける。

雄作
『生酛』なら中華でも良さそう。でも今回、僕はやっぱり焼き味噌かなぁ。これは『生酛』にも『AZOLLA』にも。

ーーそういうおこげの香ばしさは良いかもしれませんね。皮をパリッと焼いた鰻とか。

雄作
鰻は良いかもしれませんね。白焼きじゃなくてタレで焼いたやつ。『AZOLLA』ならクリアさが鰻の油も切ってくれてさわやかにいけるかも。


・・・と、今回はこれくらいで。同じ生酛造りでもはっきりした違いがでましたね。それぞれ飲み頃の温度は『AZOLLA50』は冷やした5℃~室温20℃程。『生酛純米酒』は室温15℃~熱めの燗50℃といったところでしょうか。初夏のこの頃、冷やした『AZOLLA50』でさわやかにも良いでしょうし、暑い日にお燗した『生酛』も乙なものです。これから連休にも入りますので、是非飲み比べて生酛の奥深さを楽しんでみてください。

次回は、松の司の定番『松の司 純米吟醸 楽』と『松の司 純米吟醸』この2商品をきき比べてみたいと思います。どうぞお楽しみに。


商品紹介:
『松の司 純米大吟醸AZOLLA50』
1.8L オープン価格(希望小売価格 4,800円税別)
720ml オープン価格(希望小売価格 2,400円税別)

『松の司 生酛純米酒』
1.8L オープン価格(希望小売価格 2,500円税別)
720ml オープン価格(希望小売価格 1,200円税別)

ご購入はこちらから:取扱店一覧

カテゴリー:松の司のきき酒部屋

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