創業万延元年 松の司

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松の司の「現在」

松の司のきき酒部屋 Vol.6 〜後編

2020-12-16

『松の司のきき酒部屋』ではサケ・ディプロマ(J.S.A. SAKE DIPLOMA)取得の2人の蔵人が松の司のいろいろな商品をきき酒し、その感想をお届けします。

*サケ・ディプロマとはJ.S.A.(日本ソムリエ協会)が認定試験を行う日本酒に特化した資格認定制度です。


第6回目『松の司 純米大吟醸 陶酔』のきき酒『後編』です。その香りと味わいについて掘り下げた『前編』でしたが、少し敷居の高いイメージのある大吟醸でありながら親しみやすい個性が浮き彫りになって来たところでのお開きでした。今回はその個性から料理とのペアリングを考察します。

『前編』に引き続き、次代の蔵元となる松瀬 弘佳くんに参加してもらい三つ巴のきき酒部屋です。いったいどんな話になったのか?それでは『後編』のスタートです。


マグロステーキとジュレ

ーーそれでは引き続きペアリングについて考えてみましょう。

雄作
せっかくやから弘くんから・・・。

弘佳
ちょっと脂味があるのも良いかなぁと。魚の炙ったやつとか・・・マグロステーキとかですかね。

ーー今まで魚だと赤身より白身っていうのが多かったのでマグロは新鮮ですね。

雄作
マグロステーキなら何をかける?ポン酢とか塩とか。

弘佳
あっ、塩ですね。今イメージしたのは。塩かワサビだけとか。

圭太
脂があるのやったら熊肉を焼いたのとかも思い浮かんだなぁ。ちょっと濃いかもしれんけど。繊細過ぎるのよりは少し味のあるものに合わせたい気もする。

雄作
僕は先付で出て来るようなジュレ寄せとか煮こごりとか。これ(=陶酔)自体が割と酸もあるし良いかなぁって。

ーージュレ寄せというとどんな感じのものが?

雄作
この前食べたのだとフキとかをジュレで寄せてあって。それに南蛮酢で漬けた小鮎が入ってて、アレとか良いなぁ。

ーージュレはポン酢系のジュレ?

雄作
いや、アレは多分ポン酢とかそんな酸無くって、フキを炊いた出汁とかを固めた煮こごりみたいな。この『陶酔』やと洋食も良さげですね。


『松の司』純米大吟醸 陶酔』酒米は兵庫県(特A地区)産の東条山田錦のみを精米歩合45%で使用。酵母は熊本系を主体に数種ブレンド。

『陶酔』のテクスチャー

圭太
結構味の構成が白ワイン的な感じもあるんかな。

弘佳
豚とか…イベリコ豚をガーリックとソテーしたような。

ーー割としっかり系の料理でいけるイメージですね?

弘佳
そうですねぇ。きっかけとして思ってるのはテクスチャーっていうか・・・。これ(=陶酔)がなめらかなんですけど、何て言うか比重がそんなに軽やかでは無くて。そう考えると豚とかの焼いたやつはこってりしてる訳じゃ無いけど脂がトロッとしてるじゃないですか。なのでテクスチャーが合うかなと。


松瀬 弘佳/24歳、次代の蔵元となるべく酒造りに限らず目下勉強中。

雄作
そういう酒のイメージに合わしてるってこと?

弘佳
魚のステーキにしてもちょっと脂味があって味の濃さっていうよりもテクスチャーですかねぇ。

ーー味がゆっくり推移するって事ですかね?味の流速が遅いイメージ?

弘佳
そうです。そういう事です。

酸という取っかかり

圭太
雄作の軽めのイメージとはほぼ真逆やね。

雄作
そう、僕はやっぱり、酸味もあるし高精白(=精米歩合45%)なのもあって軽さがあるから、中華料理で言うとクラゲの酢を使った前菜とか。洋食でも酢が一個の取っかかりかなぁ、分かりやすいのだとカルパッチョとか。

圭太
前菜系で出て来るようなのかぁ。

雄作
どういう使い方するかやと思うんですけど、僕はあんまりテクスチャーっていうよりは、この酒の持ってる個性というか。そういう所から考えて行ってるから。

圭太
料理の味に添わしてる感じやね。

雄作
うん。でもテクスチャーからの考え方もあるんやなぁって。面白いですね。


築山 雄作/33歳、蔵人歴7年、2018年 J.S.A. SAKE DIPLOMA取得

タケノコの木の芽和え

ーー圭太さんなら和食で合わせたいものとかありますか?

圭太
それこそちょっと前にタケノコの木の芽和えを作ったんやけど。西京味噌で甘味もあって、木の芽の香りにも相性良いような感じするかな。

雄作
良いんじゃないですか、美味しそう。ただ焼いて醤油で味付けしたタケノコよりも合いそう。

圭太
爽やかな感じとおだやかな甘味と。


松瀬圭太/37歳、蔵人歴12年、2019年 J.S.A. SAKE DIPLOMA取得

肩肘張らずに色んな料理と

ーー話を聞いてると前菜からメインディッシュまで幅広く合わせられるイメージがありますね。大吟醸らしさもあるけれど料理との守備範囲も広いような。

圭太
そういう感じありますね。

雄作
うん。肩肘張って飲む感じじゃ無い。普段飲みじゃ無いけど、2,500円(=720ml)やったらワイン買うこと思ったら有りじゃないかなぁ。ワインより合う料理も多いし。

圭太
大吟(=大吟醸)やからとかしこまらずに飲んでみて欲しい。

弘佳
アイスとか・・・。バニラアイスとか。

圭太・雄作
おぉー!!

圭太
それもうコース全部いけてまうやん。

ーーそれも『陶酔』の味が割とゆったりしてるからってこと?

弘佳
イメージではそうですね。

雄作
ジェラートとか軽いやつじゃ無いってことかな。ソルベ的なのじゃ無くて。

弘佳
僕の中ではそうかなと。

圭太
こうやって改めてきき酒してたらもっと普段飲みでも良いんじゃないかって。色々試してもらいたい感じになったね。


今回の『きき酒部屋』はいかがでしたか?その香りや味わいからは思っていたよりも親しみやすい大吟醸感が表れた『陶酔』。そんなお酒の表情が幅広い料理とのペアリングへとつながった『後編』でした。
酸味やミネラル感といった味わいの個性を取っかかりに料理を選ぶ方法や、お酒の味わい全体のテクスチャーから考える方法などそれぞれの角度からペアリングを考えるのはとても面白い発見がありました。
みなさんも是非これをご参考にドリンカブルな『陶酔』を気軽に楽しんでみてください。

次回は『松の司 純米大吟醸 黒』をきき酒したいと思います。お楽しみに。


商品紹介:
『松の司 純米大吟醸 陶酔』
1.8L オープン価格(希望小売価格 5,500円税別)*専用箱入り
720ml オープン価格(希望小売価格 2,500円税別)*専用箱入り

ご購入はこちらから:取扱店一覧

カテゴリー:松の司のきき酒部屋

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