創業万延元年 松の司

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松の司の「現在」

松の司のきき酒部屋 Vol.8 〜前編

2020-12-17

『松の司のきき酒部屋』ではサケ・ディプロマ(J.S.A. SAKE DIPLOMA)取得の2人の蔵人が松の司のいろいろな商品をきき酒し、その感想をお届けします。

*サケ・ディプロマとはJ.S.A.(日本ソムリエ協会)が認定試験を行う日本酒に特化した資格認定制度です。


第8回目の今回で最終回を迎えるきき酒部屋は、ついに『松の司 大吟醸 Ultimus(アルティマス)』の登場です。「根源的な」「究極の」といった意味を併せ持つ“Ultimate”の語源である“Ultimus(アルティマス)”という名を冠した松の司の最高峰です。ボトルからパッケージまで特別感漂うこのお酒はいったいどんな味わいなのか?

前回に引き続き、松瀬酒造の次代を担う松瀬弘佳くんも参加して三つ巴のきき酒部屋です。今回も香りと味わいの『前編』、料理とのペアリングの『後編』に分けてお届けします。


意外におとなしい香り

ーーさて今回はレギュラーラインナップで唯一の大吟醸となる『Ultimus』です。まずは香りからいってみましょう。

弘佳
上品な感じですね。

圭太
香りが立つ方?

雄作
いやぁー、意外におとなしいですかね。

圭太
うん。イメージ的にはもうちょっと香り強そうやと思ってたんやけど。

弘佳
いわゆる吟醸香の感じはするかなとは。

雄作
出品酒(=全国新酒鑑評会に出品する大吟醸)ほどは香らへん感じですね。このクラスはあの香りを期待してしまうところあるんで。

圭太
でもネガティブな香りが無いからすごく綺麗に感じるかな。

雄作
後から追いかけて華やかなところが出て来ますよね。

弘佳
鼻にスッと抜ける感じします。

雄作
うん。あとやっぱり9号(=きょうかい9号酵母、熊本酵母)からかミルキーさと。それと果物っぽい感じですかね。桃とかマスカットとか杏とかそういう。

圭太
うん。若干ジューシーさもありながら。


大吟醸でモダンな出で立ちとなると、華やかな香りがしっかりと立つイメージが強い昨今ですが、このUltimusは思いの外おだやかで食中酒としての役割も果たしてくれそうです。



『松の司 大吟醸 Ultimus(アルティマス)』酒米は兵庫県(特A地区)産の東条山田錦のみを精米歩合30%で使用。酵母は熊本系やきょうかい18号酵母などブレンド。

綺麗な一本の筋

ーー続いて味わいについてですが、香りの印象とは合っている感じですか?

雄作
僕は合ってるかな。最初意外とおだやかっていうか綺麗に入って来て、後がこうフワッとボリュームが出てくる感じかな。

圭太
黒(=純米大吟醸 黒)よりは陶酔(=純米大吟醸 陶酔)のニュアンスに似てる感じになるかなぁ。黒みたいにシュッと凛とした酒っていうよりは、でもそれが陶酔ほどポタッとしてないっていうか。そこに大吟(=大吟醸)の繊細さがあって。雄作が言ったみたいに入りからフェードアウトまでの膨らみがすごく良く感じる。


松瀬圭太/37歳、蔵人歴12年目、2019年 J.S.A. SAKE DIPLOMA取得

雄作
そこに一本スーッとね。線の綺麗な、何か一本筋が通ったような・・・。

ーー味の“張り”みたいなものですか?

雄作
うーん、張りっていうか・・・そういう筋があって、ただ陽気なだけの酒では無い感じが。

圭太
うん。大吟っていうハイクラスの品位がちゃんとあって。

弘佳
9号のコクみたいなのもあるかなぁって。

雄作
そうやなぁ。

ーー香りでいうミルキーさみたいな?

圭太
うん。それが味の厚みになってるかなぁ。

弘佳
(綺麗な味わいとの)相乗効果だと思います。

余韻のグラデーション

雄作
あと酸も程良く感じて。

圭太
うん。

弘佳
だらしなさが無いですよね。

雄作
味の構成として甘みと酸っていうのがバランス取れてる。


築山雄作/33歳、蔵人歴7年目、2018年 J.S.A. SAKE DIPLOMA取得

ーー味の余韻はどうでしょう。スッと消えていくような感じなのか?

弘佳
ツーっと続いていく感じはしますね。

雄作
そうやなぁ。

弘佳
グラデーションがかかってるような・・・。

ーーグラデーション?

弘佳
膨らんでからスーッと消えていくような。

雄作
キレっていうよりは余韻がある方ですよね。


松瀬弘佳/24歳、次代の蔵元となるべく酒造りに限らず目下勉強中。

余韻へとつながる酒の芯

圭太
やっぱり米を磨いてる(=高精白、精米歩合30%)だけあるなぁって気がする。さっき雄作が言った線が一本通ってるっていうのと同じイメージなんやけど、すごく綺麗な酒の芯が通ってて・・・。

雄作
もちろん酒の起伏はあるんですけど、そこに一本筋が通ってる感じが。

圭太
それが弘くんが言ってる余韻の長さにつながってるような。その通ってる筋がずっと残っていくようなイメージ。味の起伏自体は消えていくけど、酒の芯は残っていくような。

雄作
いわゆる今時の大吟を想像して買うとちょっとイメージが違うかな。

圭太
うん、そうやな。もっと甘くて香りがブワーッとある派手な感じじゃ無いから。ケバく無い。

雄作
っていうのを知って買って欲しいですね(笑)


松の司の最高峰『Ultimus』の味わいにはとても綺麗な一筋の芯が通っているようです。なかなか具体的な味として表現するのは難しいですが、それがお酒の品位やテンションになっているように思います。是非とも皆さんに味わって体感してもらえたらと願うばかりです。

さて次回の『後編』で本当の最終回となります。『Ultimus』と料理、どのようなお話になるか楽しみにお待ち下さい。


商品紹介:
『松の司 大吟醸 Ultimus』
1.5L オープン価格(希望小売価格 10,000円税別)*専用箱入り
720ml オープン価格(希望小売価格 5,000円税別)*専用箱入り

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カテゴリー:松の司のきき酒部屋

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